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ガンダム00感想~「撃ちたくないんだー!」について~

 さて、サジの主人公性についての話だが、これは刹那の主人公性の話でもある。

 個人的な話になるが、僕はガンダムの「撃ちたくないんだー」とか言いつつバンバン撃つ主人公が苦手だった。撃ちたくなければ撃たなければいい、とさえ思っていた。
 しかし00(特に一期)では、刹那は紛争根絶のため、迷いなく戦う。迷うことは市民であるサジに託されている。このW主人公制はうまいと思った。ファーストガンダムが富野の学生運動経験を元にしているという話からすれば、活動家とノンポリといったところだろうか。
 しかし二期では、ノンポリであったはずのサジは争いに巻き込まれていく。これは「撃ちたくない」と思いつつ、撃たざるを得ないという従来のガンダム主人公の役割だといえる。サジは、「戦いたくない」「自分には関係ない」と言い続けた結果、カタロンの人々を犠牲にしてしまう。撃ちたくないからといって本当に撃たなければどうなるのか、ということが突きつけられている。そしてサジは自らオーライザーに乗る、という選択をする。

 一方、刹那はどうだろうか?僕は、「俺がガンダムだ」という台詞にはそれほど違和感は覚えなかった。むしろ、刹那のガンダムを信仰する姿勢のほうが気になった。それは根本的に神を信じて戦っていた少年兵時代となにも変わらないのではないか?と思ったのだ。現にソレスタル・ビーイングとしての戦いを通じて多くの人の生命を奪い続けている。サジは戦わないが為に犠牲を生む。刹那は戦うが為に犠牲を生む。進むも地獄、止まるも地獄である。
 しかし、二期になると刹那は「俺がガンダムだ」とは言わなくなる。そのかわりに「俺は変わる」と盛んに口にするようになる。そして二期のラストでイノベーター、劇場版でELSに本当に変わってしまう。「俺は変わる」というのは、ガンダム=神に導かれるままに戦ってきた自分の存在を改めて見つめなおしている、ということだと思われる。そして劇場版の最後ではマリナ・イスマイールと同じ立場に立ち、争いを否定するようになる。この迷うサジと迷わない刹那の変化の対比は非常に美しい。

 劇場版についての話もしよう。二期で刹那はアロウズというファーストにおける連邦、あるいはZのティターンズのような「地球軍」とでもいうべき存在を倒す。しかし00ではさらにその先、地球が統一された後にまで話が進んでいく。地球が統一されたのだから、話がその外にいくのは至極当然といえる。
 だから、僕としては宇宙人が登場することも、もっといえばそれが戦いではなく会話による和解であることも、言葉の通じない(人間の延長ではない)本物のストレンジャーと和解する方法が「花」であったこともすんなり受け入れられた。
 メタル刹那と揶揄されるラストについても同様である。そもそも、二期のラストでは「ソレスタル・ビーイングはいずれ裁きを受ける」という話がなくなってしまう。紛争を根絶するために戦い続け、その結果人間でないものになるところまで行ってしまう、というのは妥当な落とし所のように感じた。「おばあちゃんになったマリナ・イスマイールがかわいそう」と言っている人は、少々肉欲に囚われすぎなのではないだろうか。マリナが若返ればよかった、と言っている人はその後、二人が子作りすることでも望んでいるとしか思えない。あの二人は「争いを否定し、平和を望む」という同じ目的を志した同志であり、その意味で、言ってしまえばマリナの聖人さは最初からメタル刹那のような、人間を超越したものだったと言える。その二人が生きてお互いの意志を確認しあえる、というのは肉体の状態など関係ないハッピーエンドではないか。
 むしろ苦言を呈するならば、「花」やメタル刹那は奇抜な発想ではなく、むしろ皆が納得できる最大公約数的なオチでしかなかったことだろう。ガンダムを越えた先を描くはずだったのに、一昔前のSFのようなありふれたオチになってしまっている。一口に「ガンダムの先」と言っても僕にはとても想像できないし、それはガンダムを越えてSF界の新たな一歩にさえなるような、難しいものかもしれないが、そこまで到達して欲しかったというのは高望みが過ぎるだろうか。


 ここまで書いたのは非ガノタとしての意見である。00に対する批判として(特に劇場版などで)「これはガンダムではない」というものをよく目にする。そう言われればその通りなのかもしれないが、僕は素直にこの作品は面白い、と思った。誤解を恐れずに言ってしまえば、「ガンダムじゃないから駄作!」と言っている人は、新しい価値観を受け入れ、人の気持ちがわかるニュータイプというものを描き続けてきた富野のガンダムをも否定することになるのではないだろうか。
 好き勝手言ってるのでお叱りがあれば甘んじて受け入れます。なにかあればコメントかツイッターにでも。
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